生産者に聞く/#01 レストランせりな様
醤油名匠本二作 どれっしんぐ生
「ユーセー」は2002年の起業以来、「良い食品を消費者にお届けしたい。そのためには志を共にできる生産者との良好な関係が重要だ」との考えのもと、商品を吟味し、生産者と販売店をつなぐ架け橋になりたいと奮闘してまいりました。
一つひとつの商品には、生産者の熱い思いやこだわり、歴史など、珠玉のストーリーが積み重なっています。そんなつくり手の思いをユーセーは何より大切にしています。
ここでは、私たちが惚れ込んだ商品と、食への志を共にする生産者の皆様の思いをご紹介。
第一回目は「レストランせりな」さんの『醤油名匠本二作 どれっしんぐ生』です。

3代目・堤 友哉さん(写真左)/2代目妻・坂口 せい子さん(写真右)
インタビュアー:「ユーセー」代表取締役・小倉 正人
― レストランせりなについて
“手作り”にこだわって半世紀
地元で愛される老舗の洋食屋

金沢市直江町、国道8号線から内灘へ向かう主要幹線道路沿いに建つ「レストラン せりな」。創業51年目を迎える同店は、最高級和牛ヒレステーキやハンバーグ、有頭エビフライ、昔ながらのナポリタンといった看板メニューを提供する洋食屋です。
食材の一次加工からソース・ドレッシングに至るまで手作りにこだわり、地元のみならず県外からも多くのファンが足繁く通う人気店です。
初代店主・故 坂口本二さんは18歳で料理の世界へ入り、約10年間地元のホテルやレストランで腕を振るった後に独立。
「醤油名工 」や「金沢市料理名工」など数々の受賞歴を誇り、石川県調理師会理事長といった要職を歴任するなど、石川県の料理業界を牽引した名士として知られていました。
現在、店を任されているのは、本二さんの孫娘の夫である、3代目店主の堤さん。初代と共に厨房に立ち、みっちり仕込まれた「せりなの味」を守り続けています。

初代店主・坂口本二さん
左:創業当時(公式HPより)/右:2023年撮影(公式Instagramより)
― せりなの名物ドレッシング
サラダを存分に引き立てる、
唯一無二の生ドレッシング

商品化を持ちかけた当時のことをせい子さんは鮮明に覚えておられました。
「うちはレストランなので、あくまでも料理が主役。けれど、お客様から一番多くお褒めの言葉を頂いてきたのが、サラダのドレッシングなんですよ」と、せりな2代目店主の妻・坂口せい子さん。
創業当時から変わらない味と製法で作られるドレッシングは、野菜と良く絡むトロっとした食感が特徴です。
絶妙な塩加減で新鮮な生野菜を引き立てつつ、その存在感は唯一無二。人目がなければ、皿についた分まで舐め取りたいほど、その味に惚れ込んだのです。

2009年、私が初めてドレッシングの商品化を持ちかけた際、初代店主の返答は「うちのドレッシングは、腐れんぞ」でした。(※「腐るぞ」の意味)
一般的なドレッシングの多くは加熱処理をされており、未開封であれば常温で長期期間の保存可能です。しかし、せりなのドレッシングは原料の味と香りを生かすため、増粘剤や保存料を一切使わない、無添加・非加熱処理の “生ドレッシング”。
もともと、店内で消費されることを前提に作られたせりなのドレッシングは開封前も要冷蔵、賞味期限は製造日から2ヶ月。輸送や販売時の温度管理を徹底しなければならず、取り扱いには細心の注意が必要というデリケートな商品なのです。
― こだわりつづける変わらぬ味
気温や湿度に合わせて微調整
味を守り、受け継ぐ職人技
そんなドレッシング作りを一手に引き受けているのは、初代の息子で2代目店主・坂口智也さんです。「醤油名匠本二作 どれっしんぐ生」には、醤油の産地として有名な石川県金沢市大野の生醤油を使用。リンゴや玉ねぎ、セロリなどの青果は、糖度や食味、安全性の裏付けが取れたものを厳選して仕入れています。
さらに、圧搾法で丁寧に搾った菜種油を、大きめのボウルの中で少しずつ混ぜ合わせ、まろやかに乳化させることで、せりな独自の生ドレッシングが完成します。
しかも、混ぜ合わせる作業はすべて手作業。注文が増えた今でも、作れる本数は350mlのボトルで1日200本程度が限界です。
機械化しないのは、青果は旬によって糖度や食味が変わり、菜種油も気温や湿度で粘度が変わるため。2代目が長年の経験と技術によって細かく調整し、毎回変わらない味に仕上げているから。
初代から直々に味と技を受け継いだ2代目でさえ、安定した味で製造できるようになるまでに10年もの歳月を要したと言います。

現在の店主・3代目の堤さんも、ドレッシングを同じ品質で作り続ける難しさをお話されていました。
― ドレッシングへの思い
子どものように大切な商品を、
価値を解ってくれる方へ届けたい

実は、私の依頼前にも、初代の元にはさまざまな会社からドレッシング販売の打診があったそうです。しかし、初代の「自分で納得したものしか売りたくない」というこだわりから、なかなか実現には至りませんでした。
そんな中、ユーセーの食と生産者への姿勢に共感をいただいた初代が、ドレッシング販売を快諾くださったのです。約半年の歳月を経て「醤油名匠本二作 どれっしんぐ生」が誕生。以来、ユーセーの取り扱い商品の中でも、全国区の知名度を誇り、営業先に「あのドレッシングを扱っている会社なら信用できる」と言わしめるほどのヒット商品となったのです。
私にとって、初代は業界の父。かけがえのない恩人です。
現在は、食の安心・安全にこだわる関東・関西各地の百貨店やスーパーで販売。口コミで評判が広がり、県外でドレッシングを購入した方が「ドレッシングが美味しかったから、金沢に来たら訪れたかった」と、来店されるケースも増えているそうです。
いまや、レストランせりなの名刺代わりとなっている「醤油名匠本二作 どれっしんぐ生」。作る時にも販売するときにも手間のかかるこの商品は、販売店のスーパーの方々をはじめ、その価値を解ってくれる人に愛され、守られながら、今日も多くの食卓を彩っています。
「ユーセー」代表取締役・小倉 正人



